喧嘩(けんか)は究極の学び!ルール:我が子を叱らずにグッとこらえて見守る

asobi基地・関東 アウトドア部のイベントでは、子ども同士が喧嘩になったとき、以下のようなルールを設けています。

  1. 成り行き見守る(ただし、エスカレートしすぎて、大怪我に繋がるリスクが見受けられる場合は、すぐさま止める)
  2. 原則として、親は、我が子の喧嘩には介入しない
  3. 大人が仲裁に入る場合、言い分を聞くことに徹する。どちらが悪いかを決めたり、謝らせようとしたりしない

喧嘩への介入は子どもの成長機会を奪うかもしれない

asobi基地キャンプ(静岡県川根本町の八木キャンプ場)でハンモックに4人で乗って遊ぶ子どもたち

一般的な親子向け・子ども向けイベントや、幼稚園、保育園、小学校などでは、喧嘩は禁止されています。発生した場合は大人が介入して、場を収めてしまいます。

しかしながら、本来であれば喧嘩は、子どもにとって貴重な成長機会です。怪我をさせてはいけない、じっくり見守るだけの余裕がない……そんな大人の事情を無視できるのなら、上記のような場でだって、喧嘩を禁止する理由はないはずです。

たとえば、ハンモックが楽しくて、ずっと遊んでいる。でも、他の子もやりたいと思っている。

こんなとき、「順番に遊ぼうね」などとは言わないのが、asobi基地。

もしかしたら、ハンモックをやりたくて見ていた子は、うまく言葉にして伝えることができず、無理やり乗ろうとするかもしれません。でも、もともと乗っていた子は、邪魔をされたくないので、ぶってしまうかもしれません。

こうして、喧嘩が起きます。

でも、大人が善悪を決め、叱る必要はありません。ルールを提示し、従わせようとする必要もありません。

喧嘩になれば、とてもつまらない思いをし、ときには痛い思いをし、

「ただ自分の気持ちを押し通すだけではうまくいかない」「自分だけではなく、他の子にも気持ちがあるのだ」

と強烈に実感できるからです。

大人がすべきなのは、子どもの気持ちに寄り添って、落ち着きを取り戻す手助けをすること。そして、認知を促す声掛けです。

「うまくいかなかったね」
「もっと遊びたかったんだよね」
「でもあの子も遊びたかったんだね」
「つい手が出ちゃったんだよね」
「どうしたら良かったんだろうね」

こうするだけで、次からは子どもの行動が変化していきます。一つ、成長したというわけです。

そもそも、大人の声掛けが必要ないこともあります。周囲の子どもたちが、自分たちで問題を解決しようとするからです。

答えのない究極の問い

私たちの社会では、自分の人生を自分の意志で選択し、自由に生きる権利があります。

これは、最低限のルール(憲法や法律)だけを決め、あとは自分たちで問題を解決していく、という考え方です。私たち一人ひとりに主導権があります。

けれども、大人が秩序を決め、問題が起きると強引に収めるやり方をしていると、「社会で生きる力」がなかなか育ちません。

“問題が起きたときにどう対処したらいいか” ではなく “与えられたルールに従いなさい” という方向性の教育になってしまうからです。

私たちは、自由を手にしていますが、自分の自由を守るためには、他人の自由も尊重しなければなりません。価値観の違う他人と、どう共存していけばいいのか。これはとてもとても難しい問題で、正解は存在しません。

私はハンモックで遊びたい。でも他の子が遊んでいて、一人で使いたいようだ。交渉をしてみたが、まだ遊びたいと言う。

こんなときにどうするか。

  • 実力行使に出る
  • 交代で遊ぶルールを提案してみる
  • あと●分したら代わってと言ってみる
  • 一緒に乗りたいと伝えてみる
  • 今は諦めて、後で遊ぶ

etc.

一見するとルール設定が無難な気がするかもしれません。が、ルールが増えれば増えるほど、どんどんつまらなく、窮屈になっていきます。

考えてもみてください。「3分」と決められたハンモックなんて!どれだけつまらないか!!

そして、どのような方法が最適なのかは、相手によっても変わります。いちど大喧嘩をしてしまって、お互いを認めあったほうが、そのあとの関係がスムーズに行くことさえあるのが、現場で起きている事実です。

自分が何を大切にするのか。どこまでは妥協できて、どこからは妥協できないのか。ハンモックで遊びたいという気持ちに、良いも悪いもないと思いませんか?

自分の人生を、自分の意志で選択し、自由に生きるのは、簡単なことではありません。

だからこそ、子どものうちから、守られた環境の中で、自分で考えて解決する経験を積み重ねてほしい。これがasobi基地・関東 アウトドア部の考え方です。

フェアに接するために、親は関わらない

asobi基地キャンプ(静岡県川根本町の八木キャンプ場)で大きな木の枝を二人で運ぶ女の子
撮影/高田夏子

asobi基地には、

「オトナもコドモも、すべての人が平等」

「それぞれの価値観を尊重し、フェアに対応しよう」

という哲学があります。

asobi基地らしい場づくりのため、我が子が、他の子と喧嘩をしていても、グッとこらえて、見守るようにお願いしています。

なぜなら、親なら誰しも経験があると思いますが、自分の子どもが、よその子どもと喧嘩をしていると、

「他人に迷惑をかけてしまって申し訳ない」

との思いから、ついつい我が子を先に叱り、謝らせようとしてしまうケースが多いからです。

“とりあえず謝る” のは、その場を収めるには、それなりに有効かもしれません。けれども、もし、子どもにとって理不尽な結果となってしまったとしたら、とてもフェアとは言えません。

一部始終を見ていないときは特に注意が必要です。たとえば、誰かを叩いてしまったとしても、その前に、叩くより酷い言葉を投げつけられていたかもしれません。

我が子の喧嘩は、asobi基地キャスト(スタッフ)や、asobi基地を良く知る、お父さん・お母さんが、仲裁に入ってくれます。

(もちろん、周囲に自分以外にいなかったり、ヒートアップしていてどちらかが大怪我しそうだったり、緊急時は、この限りではありません)

また、よその子同士が喧嘩しているときは、積極的に仲裁に入って、両者の言い分を聞いてあげてください。

大人にとっても、子どもにとっても、フェアな場になるよう、ご協力お願いいたします。

参加ファミリーの声

asobi基地キャンプでは、asobi基地キャストが、こどもたちと一緒に水鉄砲合戦したり、ビニールプールにシャボン液を入れて、大きなシャボン玉を作って遊んだり、家族だけではできない遊びができます。
それだけでなく、間違っている事、危ない事をしたときに、親である自分たち以外にも、怒ってくれるasobi基地キャストがいることが、大きな安心感でした。

やんちゃ過ぎる兄弟に、行く先々で頭を下げる日々……asobi基地キャンプのリピーターになった理由
asobi基地キャンプ(静岡県川根本町の八木キャンプ場)で虫取り網を振りかざして駆ける子ども
撮影/bird and insect Ltd. 林 裕介

楽しく過ごす一方、ちょっとしたトラブルでケンカし、泣くこともありました。
一人っ子なので、本気で他の子とケンカをするとか、食べたいおやつは早い者勝ちとか、普段そういう経験がありません。
疑似兄弟体験のようで、自分の思い通りにいかないこともあるということを体験しつつ、子供同士ならではの楽しさも味わい、asobi基地キャンプ参加のたびに、たくましくなっているように思います。

一人っ子でも兄弟喧嘩できちゃう!?「asobi基地キャンプ」は求めているものがいっぱい詰まった場所